「こんな初体験は、絶対に嫌ぁぁぁぁ!!」

溢れてくる涙、のどが枯れるくらい大声で泣き叫ぶあたし。

泣いてしまったせいか、鼻で息をすることもできなくなり、鼻水までたれてきた。

キスだってまだしたことないのに、こんなところでこんな男に初体験を奪われるなんて、死んでも嫌!!

顔をぐちゃぐちゃにして泣いていると、腰に回されていた腕がパッと離れていく。

壁にもたれて、しくしく泣くあたし。

すると、背後にいた深町はケラケラ笑いだした。

「何? お前、まだしたこともないのに誘ってきたの?」

小馬鹿にした口調で、ニヤニヤ笑われる。

「助かったんだ」と思った瞬間、腰が抜けてしまった。