顔を上げたあたしはついた場所を見渡し、無表情のまま深町を見た。

「何を?」

コンクリートの壁に、灰色の大きなポリバケツ。

深町が働いている店の裏口は、狭くて殺風景。

地面には雑草がぼうぼう生えていて、虫の声も聞こえてくる。

「何をって……。誘ってきたのはそっちだろ?」

彼は呆れた態度であたしの背中を押し、その細い通路の奥へと連れていく。

「ちょっと待って、何を始めるつもり?」

言ってることがよくわからない。

こんなに狭くて汚い場所で、一体、深町は何をするつもりなのか。

冷静沈着な彼は、慌てるあたしを冷めた目つきで見下ろす。