身を寄せてにっこり微笑むと、深町は指先で眼鏡のずれをゆっくり直す。

伏せ目がちのまぶたから真っ直ぐ伸びた、長いまつ毛。

顔を覆う手は大きくて、指も長く、男を感じさせてくる。

レンズの奥にあるふたつの目がまばたきをしたとき、なぜか深町から色気を感じてしまった。

あたしは急いで彼の顔から目を逸らし、高鳴った胸を抑えようとする。

何ドキドキしてんの、相手は深町よ。

しっかりしろ、あたし!!

一瞬でもこんな奴に見とれてしまっただなんて、絶対に信じたくない。

大きく深呼吸をするあたしは、冷静さを取り戻そうとしていた。

そのとき……。