直子の言うとおり、深町はきっと、あたしが何か仕掛けてくるのを警戒しているはずだ。

昨日、あのファミレスでタンカをきったあたしに、彼は「できるもんならやってみな」と嫌味な口調で言い返してきたから。

相手はあの深町篤紀。

小学生のとき、何度もあいつに仕返しをしようとしたけれど、あたしはまったく勝つことができなかった。

口が達者で、何を言っても負かされてしまう。

どうやっても向こうのほうが一枚も二枚も上手で、あたしは苛立ってばかり。

「作戦は昨日の夜、寝る前にちゃんと考えてあるから大丈夫」

あたしは心配する直子に、にっこり微笑む。

「あんた、また無茶なことするんじゃないでしょうね?」