ニヤリと笑う口元、見下すような目。

こいつ、やっぱり……変わってない!!

「ねぇ、桃ちゃん。篤紀なんかより俺のほうがカッコイイっしょ? 俺にしときなよ」

「てか、この中でいちばんいいなぁって思うのは誰?」

深町の豹変ぶりに驚いていると、側にいる男たちは軽い口調で話しかけてくる。

席を離れるあいつの後姿を睨むあたしは、隣にいる男に肩を抱かれてイラッとした。

「汚い手で触んな」

女の子らしい声を出す余裕は、今のあたしにはなかった。

地声でそうつぶやくと、あたしを囲んでいた男共は目を丸くしている。

「……このあたしが、あんたたちみたいな低レベルを相手にすると思ってんの? これで、その汚い顔拭けよ!」

手を拭いていたおしぼりを隣の男の顔にぶつけて、あたしはその席を後にする。

「この野郎……、待てよ!!」

「うっさいわね、この不細工!!」