「聖葉学園でしょ? その制服」

「あ、はい。私立の学校なのに詳しいんですね」

「俺の妹もその学校に通ってるから」

「そうなんですか? 偶然ですね」

近くのファミレスまで歩く途中、深町はあたしの制服を見て、学校の話をしてきた。

弥生ちゃんの名前が出てきたとき、あたしは何も知らないふりをすることで精一杯だった。

「少しでも可笑しい」と思われたら計画は全部、台無しになっちゃうから。

あたしたちはファミレスに入って、料理とドリンクバーを注文する。

深町は広げたメニューをあたしに向けて、「好きなものを選んでね」と囁いてきた。

こいつ、絶対に女慣れしてる。

今まで何度か、付き合った男とご飯を食べに行ったけれど、こういうちょっとした気配りが出来る男ってなかなかいない。

さっき店へ入るときも、深町はドアを開けて、あたしを先にお店に入れてくれた。