視界に映るのは、生徒たちから盛大に祝福されている、田畑あきおの姿。

「ほんまありがとうな!」と喜ぶ表情は、雲ひとつない青空のよう。


「あんたが転校したら、あたしはどうなんの? 毎日が楽しくなくなるじゃん」

同じように彼女を見つめる直子は、呆れた声でつぶやく。

彼女は苦笑いを浮かべるあたしに、続けて囁く。

「1票は確実に入るよ。全校生徒があの子に投票したって、あたしの1票はあんたのものなんだから」

ね、と微笑まれる。