「いや、あきおちゃん。あたしたち、別に争うことはないと思うの」

こいつ、やる気満々じゃん。
何が何でも棄権させなきゃ。

「あたし、争い事は嫌いだし」

田畑あきおが棄権すれば、戦わずに勝てる。

そう考えて部室に来ていたあたしは、必死に彼女を説得した。

「仲良くしたいの」

野ザルはぽかんと口を開けて、柔らかい物腰で話すあたしを見つめてくる。

あたしは何も言い返さない彼女を見て、納得してくれたものだと思っていた。
だけど……。