「あきおちゃん、あの話……聞いた?」

その日の放課後、あたしは陸上部の部室を訪れていた。

ジャージ姿の彼女は、小さな目を見開いて「うん」と明るく返してくる。うん、って……。

何なの、この自信たっぷりな態度は。

イライラしていると、彼女は白い歯を見せてにっこり微笑む。

「でも、あたしみたいな奴がこんなベッピンさんと争っても、勝てるわけあらへんし。まぁ、おマツリは好きやから、楽しむ感じで頑張ろうかなって思ってます」

そう言って、彼女は制服を丁寧にたたむ。