今日、ここに来たのは、篤紀に「一時だけ別れてほしい」と頼むためだった。

彼氏がいるというだけで、男子からの人気は少なくなる。

だから、状況が落ち着くまではフリーでいようと思ったの。

「……ここまで頭が悪いと思わなかった」

怒りをこらえているのか、彼は奥歯を噛みながら、口元をグイッと曲げた。

「何よ、本当に別れるわけじゃないんだから……」

「本当とか嘘なんてものはねぇよ。別れるっていったら、別れるんだ。ちゃんと考えてから物を言え」

彼はあたしの言葉を聞かず、言い放つ。