その日の放課後、あたしは制服姿のまま篤紀のバイト先へ行き、働いている彼のそばにいた。

「は?」

本棚を整理していた彼は、眉間にしわを寄せてあたしを見る。

「だから、一時だけね」

うまく伝わっていないと判断したあたしは、誤解されないよう、言葉を付け足していく。

「いや、一時だけ別れるっていう意味がわからねぇ」

彼は手にした本で手のひらを叩きながら、呆れた顔をする。

「意味がわからねぇ、って……ちゃんと説明したじゃない」

機嫌を損ねる彼に困ったあたしは、深いため息をついた。