使ったコップを台所へ持っていった篤紀は、玄関で靴を履くあたしのそばへ。

先に出る準備をしたあたしは、スニーカーを履く彼をにこやかに見下ろす。

「行こっか」と言って、立ち上がる彼。
うんと微笑むあたしは、玄関のドアを開ける彼についていく。

だけど、なぜか彼は急に立ち止まり、あたしはその背中にドンと鼻をぶつけた。

「いっ……た」

「ごめん、大丈夫?」

あたしの台詞に返したかのように聞こえた声。