まだ夕方にもなっていないのに、彼は駅へ向かおうとする。

「……」

斜め前を歩く彼を見つめながら、あたしは頬を膨らませた。

また「しつこい」って言われるかもしれない。

だけど、気になるんだもん。

……心配になっちゃうんだよ。

「あ、そっか。今日は弥生ちゃんの……誕生日だからね」

いつも思う。
あたしとバイバイした後、篤紀は弥生ちゃんがいる家に戻るんだ。