「……何すんのよ」

濡れたあごを拭きながら、文句を言った。

「何って、口移しだよ」

「そんなことわかってるわよ! どうしてそんなことをするのか聞いてんのよ!」

飄々としている態度が憎たらしくて、あたしは声を荒げる。

そのとき、テーブルの上に置いていた携帯電話がブルブル震えた。

「……え、お父さんからメールきた」

何て書いているのか、聞いてくる篤紀。

あたしは首をかしげながら、受信欄を開いた。

「まだ早い、って何のことだろ?」