篤紀は持っていたコップを口につけ、サイダーを口に含む。

「……ちょっ」

突然近づいてきた顔に驚いて、あたしは急いで口を開いた。
だけど、次の瞬間、唇は彼にふさがれ、言いかけた言葉はもみ消されてしまう。

柔らかい感触と共に、ゆっくり注がれるサイダー。
声にならない声で叫ぶと、開いた隙間からそれはこぼれていく。

舌の上で微かにはじける炭酸。

一度、篤紀の口に含まれていたせいか、サイダーは少し生ぬるくって……。