「そういう本を若い女の子が読むのは珍しいなぁ、って思っただけで……」

少し顔を赤らめて、恥ずかしそうにつぶやく彼。

「え?」と思ったあたしは、持っていた本を自分に向けて表紙を見た。

手にしていた本のタイトルは「乱れる女」。

あたしが「探していた」と胸を張っていたものは、下着姿の女の絵が描いてある大人の文庫本だった。

「あ、これは……お父さんが探している本で……」

カーッと顔が熱くなる。

あたしは慌てて、自分が読むものじゃないと説明した。