恋をする自分に少し酔っていたけれど、あることを思い出したあたしは、目を細めて篤紀を睨む。

頭の中でグルグル回っているのは、再会して間もない頃のこと。

色仕掛けで仕返しをしようと考えていたあたしに、確か篤紀はこう言った。

「何? お前、まだしたこともないのに誘ってきたの?」

……んん?

んんんん?

まだしたこともないのに、って小馬鹿にしてきたよね?
じゃあ、あんたはしたことあるの?

「ねぇ、付き合ってた子とは、その……体の関係はあったの?」

あんな言い方するなんて、絶対にあったんだと思う。