説明として前の気持ちを話しているはずなのに、なぜか彼の声はリアルに切なくて……。

まだ好きなのかな、と考えてしまった。

もしかしたら、あたしもその彼女と同じ立場になっているのかもしれない。

「お前は違うから」

突然、彼は穏やかな口調で囁いてきた。

「え?」

「今回は、ちゃんと好きになってから付き合ってる」

きょとんとしているあたしに、篤紀は真剣な表情でそう言った。

頭の中を覗かれた気がした。

「だから、機嫌直せよ」

彼はそう言うと、またフォークを持ってケーキを食べ始めた。