「ひとりだけ、って……あんた、弥生ちゃんのことが好きだったんでしょ?」

思わず、眉間にしわが寄った。

篤紀は、あたしが言おうとしていることを察したのだろう。
彼は片足を曲げて、そのひざに腕を乗せ、視線をそらした。

「ちょっと……」

「もういいじゃん、昔のことなんて。今はお前と付き合ってんだからさ」

面倒くさそうに、あたしの言葉をさえぎる彼。

適当にあしらわれた気分になった。

「……」

不機嫌になったあたしは、黙ってケーキを食べ始める。