イカクするように彼を睨みながら、愛おしそうに本を抱くあたし。

すると、深町は「あ、いや」と戸惑いながら、首元をポリポリかいた。

ひるむな、美和。

計画通りにやればいい話じゃん。

もし、深町があたしのことを思い出していたなら、「あ、久しぶりぃ!」と懐かしむように笑えばいい。

気づいてなければ、ちょっと会話をして仲良くなればいいんだよ。

動揺を隠すんだ、美和。

あたしは名札なんか見ていない。

そう、見ていないふりをすればいい。


落ち着け、美和!!