テーブルの前に腰掛けた彼。
あたしはふたつのコップにサイダーを注いでいく。

「でも、なんかすっげー緊張した。彼女の家へ行くことなんて、今までなかったからさ」

篤紀は両腕を上げて、背伸びをしながら肩を鳴らす。

「……え」

今までなかった、って。

「彼女いたの?」

ペットボトルの口をフタで閉めながら、問いかけた。

「あぁ。って言っても、ちゃんと付き合ってたのはひとりだけ」

あたかも当然のように、彼はうなずく。