いつもこんな感じだから慣れてるけどさ、さっき篤紀に素の状態を見られてるんだから、そんな格好しても意味ないよ。

ポカンと口を開く篤紀の隣で、あたしは柔軟に対応できない親たちを、呆れた目で見ていた。

すると、2階にいたバカ兄貴が「あ、来たんだね」と言いながら、階段をおりてくる。

髪をちゃんと直し、流行りの服を身にまとい、爽やかに微笑む彼。

「もういいってば!!」

イライラしたあたしは、すぐに靴を脱いで、家の中へ上がり、持っていた鞄をバカ兄貴の顔にぶつけた。

そのとき、お母さんの隣にいた妹が、小さな声で挨拶をする。