3時って言ってたじゃない、と泣きそうな声で怒る彼女。
13時って言ったんだよ、と冷めた口調で返事をしながら、あたしは側にいる篤紀に目を向けた。

首元をポリポリかく彼は、平静としているが口元はにんまり緩んでいて……。
それを見たあたしは、心の中であの3人に「覚えとけよ」と囁いた。


1時間後、あたしたちはもう一度、家へ向かった。

「まぁまぁ、いらっしゃい」

髪を夜会巻きにし、黒いドレスを着た母親が、優雅に振る舞いながら篤紀に声をかける。