数分後、あたしは庭にいるモカを連れ出して、篤紀と散歩に出かけていた。

「ごめんね、時間……聞き間違えてたみたいで。今、準備してると思うから、少しだけ待って」

苦笑いで謝ると、彼は文句も言わず、首を縦に振ってくれた。

愛犬の散歩でなんとか時間を稼ごうと、あたしはいつもと違うルートを歩いていく。

あの後、すぐに外へ出たあたしは、怒りを抑えながらお母さんの携帯電話を鳴らした。