「ただい……、え……」

一瞬で、血の気が引いた。

思わぬアクシデント発生。

……家族はみんな、彼が来ることを知っていたはず。

家を出るときも、何時に連れてくる、ってちゃんと知らせていたのに……。

まだ着替えていないバカ兄貴は、高校時代の青いジャージ姿のまま、玄関をのぞいてあ然としている。

寝癖がついたボサボサの髪の毛。手にはお菓子の袋。

「……ちょっとぉ」

「誰か来たの?」

顔を引きつらせていると、キッチンからお母さんが顔を出した。