「んもう、ちゃんと聞いてる?」

「聞いてる聞いてる」

しかめっ面で問いかけると、彼女は「うんうん」と言うだけ。

……きっと、あたしのほうが先に恋を成就させたから、気に入らないんだと思う。

「そっちはどうなの? クリスマス、デートしたんでしょ?」

仕方ないから、彼女の話を聞いてあげることにした。

待ってましたというかのように、直子は思い詰めた表情で、なかなか進展しない自分の恋を語り出した。


「……でね、って聞いてる?」