「お嬢さん」

携帯電話を見ていたあたしに声をかけてくるのは、見知らぬふたりの男。

「うわ、マジ可愛い」

「こんなところで何してんの? よかったら俺たちと遊ばない?」

同い年くらいの彼らは、ニヤニヤしながら軽い口調で誘ってくる。

何、いまどきナンパ?

そういうの寒すぎるっていうか、ちゃんと鏡を見てから出直してって感じ。

「人と……」

待ち合わせしてるから、って断るつもりだった。

けれど、いいことを思いついたあたしは、言いかけた台詞を出さずに飲み込む。