「別に悪いとまでは言ってないだろ。……まぁ、待ってな。あと5分くらいで着くから」

深町……じゃなかった、あ……篤紀は、素っ気ない口調でそう言うと、あたしの返事を聞く前に電話を切った。

あたしは口をへの字に曲げて、閉じた携帯電話を見つめた。

「……付き合う前と何も変わらないじゃない」

派手にスカルプをした爪で、揺れるストラップをピンと弾く。

犬猿の仲だったあたしたちは、クリスマスの日、晴れて恋人同士になれた。

その日は一緒にご飯を食べただけで、すぐにバイバイしたの。