じろりとあたしを睨む彼は、面倒くさそうな態度で拾いにいく。

「はいよ」

浮かせていた足の下に、そっと置かれた黒のローファー。

シンデレラっぽいな、なんて一瞬でも思った自分に苦笑しながら、あたしはゆっくり足を伸ばした。

「さっき、何て言ったの?」
再度、聞いてみた。

でも、やっぱり彼は答えてくれなくて。

「早く行けよ。待たせてるんだろ?」

また離れていく。

「待たせてないから、聞いてることに答えて!」