「……急に何もされなくなったら寂しいもんだな」

彼は向こうを見ながら、ポツリとつぶやく。

それは、まるで都合のいい夢を見ているような台詞で……。

「え?」

聞き間違えたんじゃないかと、耳を疑った。

「人、待たせてんだろ? 早く行けよ」

口をへの字に曲げて、彼はそばを離れていく。

「く、靴……持ってきてよ」

慌てて呼び止めた。