派手に可愛くしていた髪型も、一瞬で崩れてしまった。

あたしは毛先のカールを直しながら、呼吸を整えていた。

「誰を……待ってたの?」

緊張しながら聞いたのに、深町は表情をひとつも変えないで「お前」と答えた。

「ど、どうして?」

問いかけるあたしは、普通に話せているこの状況に少し戸惑う。

あの雨の日以来だっていうのに、深町は何もなかったような態度で接してくる。

本当なら、冷たくされても仕方がないのに。