「……深町」

どうして、こんなところにいるの?

腕を組んで、向かいの壁にもたれている彼は、もうあたしに気づいているようだった。

「あ、美和ちゃん!」

割り込むかのように、あたしたちの間で手を振るのは、デートの約束をしていた相手。

「……あ、そっか」

あれこれ考えていたあたしは、彼が待っているのは自分じゃないことに気が付いた。

きっと、弥生ちゃんを待ってるんだ。