「何が言いたい?」

眼鏡の奥にある目は、鋭く、険しいもので……、いつも冷静に振る舞う男がキレると迫力がある。

でも、どうしてあんたが怒るの?

キレていいのは、こっちでしょ。

「……馬鹿にしないでよ」

あたしは肩に置かれたままの手を見下ろしながら、小さくつぶやいた。

1階から3階へ向かう人の男の子たちの声が、静かなこの場に届く。

だけど、あたしたちは階段に目を向けることもなく、睨み合っていた。