「あのさ……弥生、そんなにムカついてた? ……俺のこと」

差し入れ作戦のとき、公園のベンチで背中をさすってくれていた彼は、前を向くあたしに真剣な口ぶりでそんなことを聞いてきた。

「付き合うことになったんだ、俺たち」

ファミレスで弥生ちゃんたちとばったり会ったときも、あたしの肩を抱き寄せて……。

2階までの距離が、妙に長く感じた。

相変わらず、静かなフロア。

あたしは再会した日のことを思い出しながら、奥の本棚へと足を進める。