そう囁くと、彼は下唇を噛んでうつむいた。

「正直、驚いた。そんなふうに見られてるとは思わなかったし」

あたしにとって太一は、直子の次だと言えるくらいの親友だった。

口は悪いし、ふざけたことばかり言ってくるから、真面目な話なんてする機会はないけれど……。

でも、大切だと言い切れる。

あたしの素性を知っても、普通に接してくれた男子だもん。

「驚いたけど嫌じゃなかった。……ありがとうね」

他の男子に告白されても、こんな気持ちにはならない。

「それなりの努力をしてるんだから、告られて当り前」としか思わないの。

だけど、太一は、周りには見せてない部分を好きになってくれたんだよね。

本当のあたしを好きになってくれた。