「……話って何?」

ポケットに手を突っこんだまま、不機嫌そうな顔をする太一。

隣のクラスへ行き、彼を自転車置き場まで呼び出したあたしは、ずっと掴んでいた直子の腕をそっと放す。

「あんたの気持ちは、この前、直子から聞いたよ」

誰のものなのかはわからないけれど、座りやすそうだったから、あたしは目に入った自転車の荷台に腰かけた。

驚いた太一は、気まずそうな表情を浮かべた直子に目を向ける。

「無理やり聞き出したようなものだから、直子を責めるのはやめてね」