「このケーキ美味しそう!」

平然と明るく振る舞う彼女に、ため息が出た。

ねぇ、直子。

あたしたちって、いつまでもこんな感じなの?

上辺だけで、ずっと続いていくのかな?

「ん?」

突然、立ち上がったあたしに、直子はきょとんとした顔をする。

「え、どうしたの!? ちょ、ちょっと……美和!?」

腕を引っ張ると、彼女は床に落とした雑誌を気にして立ち止まろうとした。

「そんなの後で拾えばいいから」

一度でも立ち止まれば、直子は必ず、しようとしていることを聞いてくる。

聞けば絶対に話をそらすと思うから、あたしは落ちた雑誌を放ったまま、その場を離れた。