「深町……篤紀」

書いてある名前を口にしながら、顔をしかめるあたし。

まさか、弥生ちゃんのお兄さんがこいつだったとは……。

「どうかしましたか?」

弥生ちゃんは顔を見合わせるあたしたちの様子を、心配そうに眺めている。

「う、ううん。何でもないよ。てか、最悪だね。整形して出直せよ、とか」

直子は慌てて、メールの文章に怒っているふりをした。

その隣にいるあたしは、小さな声で「なるほどね」とつぶやく。

あいつが言いそうな台詞だわ。

頭の中に浮かんだのは、いまいましい過去の思い出。