その夜、家に帰っても、あたしは深町の衝撃発言に悩まされていた。


「付き合うことになったんだ、俺たち」

ばったり会った美緒ちゃんたちに、彼は平然とした表情でそう告げた。

「開いた口が塞がらない」とはこのことを言うのだろう。

肩を抱き寄せられたあたしは、口をパクパクさせて彼を見ていた。

「先輩、本当なんですか? まさか、兄に脅されたりとかしてませんよね?」

あたしの反応をジッと見ていた弥生ちゃんは、目を細めながら心配している。

一緒にいることを別の理由でごまかそうとしたけれど、何も思いつかなかったあたしは、戸惑いながら首を横に振る。

……脅されてもいなかったしね。