「いえ、あたしも兄を最低だと思いました。だから、美緒からその話を聞いたとき、兄にキレたんです。どうしてそんなことをしたのか、って」

泣いている美緒ちゃんの背中をなでながら、眉間にしわを寄せて、続きを話す弥生ちゃん。

「何て答えたの? そのお兄さん」

直子は完全に腹を立てている様子。

「不細工な女には不細工な男がお似合いだと思って、って言ったんです。あたし、許せなくて、兄に怒鳴りました。美緒の気持ちを何だと思ってるの、って。すると、兄は、人の気も知らないくせに勝手なこと言うな、って逆ギレしたんです!」

そのときのことを思い出したのか、さっきまで平静に話していたはずの弥生ちゃんの顔は、徐々に険しいものになっていく。