「このままでいいの?」

遠くなる太一の後ろ姿を睨んでいると、側にいた直子が問いかけてきた。

「……別に。向こうもあたしのこと避けてるし」

ツンとした口調で答えると、直子は小さなため息をつく。

しばらく、あたしたちは黙っていた。

何も話さず、教室まで歩く。

「ねぇ」と先に口を開いたのは、直子。

「美和は、本当に気づいてないの?」

意味深な言い方をされ、あたしはキョトンとした顔になる。

「……わからないなら、もういいよ」

首をかしげるだけのあたしに苛立ったのか、直子はその言葉を置いて、スタスタ歩きだす。