あたしは「深町」という名前を、口に出さなくなった。

直子もそのことに触れてこないから、もしかしたら、互いに気を遣っているのかもしれない。

……あたしたちって本当に親友なのかな?

でも、まぁ……、険悪になってもこうやって一緒にいるんだから、そこまで深く考えることはないのかも。


同じ日に言い合いになった太一とは、まだ仲直りをしていない。

「あ……」

太一とばったり廊下で出くわした。

あたしの姿を見て、一瞬、立ち止まる彼。

だけど、すぐに横を通り過ぎていく。

小さく声を漏らしたあたしに、何か言うわけでもなく……。