「ありがとう、百瀬さん。教え方、上手だね」

「また……わからないところがあったら、教えてほしいな」

数学の問題の解き方を聞いてきた男子たちは、照れくさそうに礼を言う。

優しい笑顔で「うん」とうなずくあたしは、去っていく彼らに軽く手を振った。

「相変わらずモテモテだねぇ」

昼ご飯を食べた後にトイレへ行ってた直子は、お土産にパックのイチゴ牛乳を買ってきてくれた。

それを受け取るあたしは、使ったシャープペンをペンケースの中に入れる。

「篠山先生が休んでるみたいだから、5限目は自習らしいよ」

「あ、そうなんだ」