「申し訳ありません。ただいま、海老が切れておりまして……」

オーダーを聞くウェイトレスが、すまなさそうに返してくる。

「ないの?」と聞くと、小さな声で「はい……」と言われた。

駅前の洋食店に来ていたあたしたちは、その言葉を聞いてがっかりする。

「わかりました。じゃあ、別のものを選んでから、また呼びます」

テーブルの向かいにいる深町は、愛想よくそう言って、端に寄せていたメニューを、再度、見始める。

透明のコップに入った水を、一口飲んで……。

「え? 出ようよ」

別のものを選ぼうとする深町の手から、メニューを取り上げる。