「じゃあな」と手をかざして、深町は去っていく。

妙な寂しさが、胸の中で込み上げてくる。

その感情をうまく消化できずにいたとき、お腹がキュルルと鳴った。

「……あ、あのさ!」

考えるより先に、声が出ていた。

大きなバッグを抱えながら、公園の出口まで歩いていた深町は、チラッとこちらを見る。

「せ、背中……さすってもらったから、お礼にご飯をおごってあげる!」

夕飯に誘ったけれど、返ってきた言葉は「家の飯、あるから」だった。

せっかく誘ってあげたのに……。

こんなふうに誘うのは、珍しいことなのに……。