……頬の上で何かが跳ねている。

跳ねる度に、かゆみのような痛さを感じた。

「……い、おい!」

頬を叩く誰かの声。

痛くてギュッと目を閉じていると、その手は動きを止めた。

ゆっくりと目を開ける。

視界が少しぼやけていて、目の前に誰かがいるってことはわかったんだけど、それが誰なのかすぐには判断できない。

「ん……」と呟きながら、何度かまばたきをする。

「ぬあっ!!」

誰なのかわかったあたしは、驚きの余り、男みたいな低い声を出してしまった。