呼びかけに気がついた彼はクルッと振り返り、こちらを見る。

あ、こいつ……今あたしを見て、一瞬、嫌そうな顔をした。

「警戒されるかな」って少し焦ったけれど、みるみる変わっていく彼の反応を見たとき、「あ、大丈夫そうだな」と安心した。

清純なあたしを見て、きっと驚いたのだろう。

そうよ、そうよ、あたしは清純な女の子。

彼は目を大きく見開いて、びっくりした顔をしている。

ふふ、騙せてる騙せてる。

いくらあたしが可愛いからって、そこまで見とれることないでしょ。

まぁ、いいけど……。

待ってなさい、深町。

今、行くわ。

バスケットを抱えて駈け寄るあたしは、柔らかい笑顔を彼に見せている。

「危ない!!」

目を細めながら、大声で叫ぶ彼。

「ん、危ないって……何が?」

キョトンとしたあたしは、その後すぐに、何かが飛んでくることに気がついた。