置いてきぼりにされたあたしは、目の前に立つ太一からプイッと顔を背け、直子の後も追わず、ゆっくり家へ帰った。


次の日の朝、家を出たあたしは空を見上げる。

雲ひとつない快晴。

険悪になった相手のことだけど「走るにはいい日だな」と呟いてしまった。


手にしたバスケットの中には、作戦にちなんだ食べ物が入っている。

日曜の深町はいつも、あの少年たちと一緒にサッカーをしてるんだ。

今までは隠れて見ているだけで、その場に踏み込むことはなかったけれど、今日はこの差し入れを持って、話しかけようと思ってる。