「よかったじゃん」

お弁当箱を巾着袋の中にしまいながら、明るく投げかけてくる直子。

「これで深町と関わらなくて済むじゃない」と言いながら、スッと立ち上がる。

わずかに残っているジュースを飲みほして、同じように腰を上げるあたしは、その味気ない口調にため息をつく。

直子は一体、何を考えているのだろう。

長い付き合いなのに、あたしはたまに、直子を遠く感じることがある。

それは、きっと、直子があたしとの間に壁を置いているからだ。

あたしに言えない何かが、彼女の心の奥にあるんじゃないかと思った。