「そろそろ諦めたら? お前は絶対に俺には勝てない」

自転車にまたがる深町は、目を細めて嫌味を言う。

「諦めるわけないでしょ!! ロープに気づいたからって調子に乗ってんじゃないわよ!!」

「だって、お前単純だもん。てか、気づくも何もロープは丸見えだったし」

そう言って、彼はあたしの前から去っていく。

スーッと遠ざかっていく後ろ姿。

ロープをギュッと握りしめたまま、あたしは下唇を噛む。


「悔しーっ!!」

翌日、あたしは学校の屋上で叫んでいた。